樹形が今一なマキの木(玉散らし)の改作

こちらのお宅様はかなり立派なお庭で昔ながらの和風なお庭です。松と玉ものメインのお庭なので庭園っぽい作りを意識されたのかもしれません。イヌマキの玉散らし仕立てだけで10本あるのですが、私が気になっていたのは「正直どの樹木も頭がでかい傾向なので少し仕立て直したいな~」と思いました。で、この人は去年あまりに頭でっかちで見てて安定感がないので思い切って上の方をバサバサと間引きして玉をちっちゃく分割してみたのですが、ご覧のとおりかな~りかっこわるい状況となっております(下手くそ)

もちろん大胆な改作をしても、枝の位置配分によってはすぐかっこよくなる場合もありますが、何年かかけて徐々に仕立て直してかっこよくしてくパターンのが多いと思いますのでこいつもまあ改作一年目だししょうがない面もあるのですが、今年の状況を見る限りこのままだと将来性がないっぽい、そもそも頭が飛びぬけてろくろっ首っぽいので「これはダメだ」と判断して頭を断幹することに決めました。

で、上の間延びした三玉を落としてこんな感じになりました。いかがでしょうか?右上の飛び出した玉を切るかどうか悩んだのですが、切ると寂しくなりそうだし、枝の曲がり方がおもしろい動きなので残してみました。正直、この角度だと完全に要らない枝なのですが、この先もうちょい内側に枝葉が茂ってくれたら、使えるかもしれません。

剪定のちょっとした鉄則なのですが、「迷ったら切らない」 切ったらもう取り戻せませんが切らないで様子を見れば、後でまた考えなおせるからです。

別角度。どうでしょうか?自分ではかっこよくなったと思うのですが・・・

この角度だとさっきの切るか切らない迷った枝があるほうが断然良く見えるのです。

あの枝を将来茂らせてあわよくば頭の断幹跡を隠せないかな?と思ってますが(厳しいかな)

でもこの状態でもめちゃくちゃ変ではないような気がします・・・

ほかにも頭でっかちな木がたくさんあります。こいつはマルバヒイラギ。頭を限界ギリギリまで刈り込んでもこの頭のデカさなのでどうしたもんかと悩みます・・・

ウバメガシ。今年は玉をちょっと間引いてちょっとかっこよくなりました^^

この人も頭がデカイですが二段目、三段目の玉もデカイのでバランス的のそれほどおかしくはないです。他にもツゲの玉散らしも頭でっかちなのが居ます。

樹木は頂芽優勢といって、上の方ほど優先的に芽を出して勢いがありますので毎年同じように刈り込んでいても気づいた時には頭がでかくなってたり生垣が高くなったりするものです。なので剪定の基本といたしまして上の方ほど強く切り、下に行くほど徐々にゆるく剪定してくとよいと思います。

お客様に失礼ながら「○○さんちは頭でっかちな木が多いですね」と進言してしまったのですが、こちらのお客様はとてもよい方で、若輩者の私の言い分もちゃんと参考にしてくださったり。いつもおまかせで仕事させて頂いてるのですが、「剪定のやりにくい木だったら中村さんの仕事がしやすいように低くしてもいいからね」とおっしゃってくださったり、とてもありがたくやりがいがあります。

ということで今週は玉もの刈り込み祭りでした~ マキタの小型トリマーちゃんがたくさん仕事してくれました。もうバリカンがないと仕事になりません・・・

ハマヒサカキの花はプロパンガスの匂い

あまり知らない方も多いともいますが有名なサカキの仲間です。私はサカキ、ヒサカキ、ハマヒサカキと覚えています。プロパンガスとか都市ガスは本来は無臭らしいのですが、ガス漏れ時に発覚しやすいようにわざとあの臭いを付けてるようです。こいつはガスそっくりな匂いがして知らない人だと「ガス漏れしてる?」と勘違いするかもしれません(笑)

以前、横浜で異臭騒ぎ(ガス臭)が頻繁に起こったことがありましたが、これが原因じゃないのか?と疑ってますが、時期的に春にも異臭騒ぎがあったのでやはり違いますかね?

こいつは結構道端とかそこらに植わってたりしますので、もし発見したら匂いを嗅いでみてください^^ ヒサカキのが遭遇率は高いですがヒサカキの花もやはり臭いらしいです。どっちもこんな感じの魚の目玉が大量に密集してるよう花が咲きますので判り易いと思います。

自己流の剪定で弱ってスカスカだった黒松さんですが、二年ぐらい?剪定せずに樹勢を付けたら元気になりました。去年は二年ぶりの剪定だったのであまりかっこよくならなかったのですが、今年は葉っぱも短く小枝もすこし増えたのでそこそこ黒松っぽくなりました^^

毎年手を入れればかっこよい黒松に復活すると思います。

ちなみこれは↓去年の剪定後です

ちょっとわかりづらいですが葉の長さと密集度が違います。

カシワ(柏)を剪定しようと思ったら・・・

ハトが子育て中でした。子育て中のハトって結構辛抱強くて人間が近くに居ても無視して温めてたりしますが、この人は僕が「どうせ空の巣だろ~」って急に近づいたのでさすがにびっくりして親御さんは飛んでいってしまいました(ごめん) 後から確認したらちゃんと戻って暖めてました(よかった)

ハトは鳩ミルクというもので子育てするようです。よくツバメが何回もエサ取りに往復する映像を見ますが、ありゃ大変だし親は偉大だな~なんて思いますが、ハトはそういう感じではないようです。ミルクと言っても母乳のような感じではなく口から吐き出して飲ませるようです。

ちなみにカシワは落葉樹ですが冬でも枯れた葉っぱが付いたままです(落葉しません)

春に新芽が出るまで枯葉が落ちませんので、「代が途切れない」ので縁起が良いと言われてて?カシワは昔から縁起木、神聖な木とされています。

ハトもそのことを知っていて、この時期にカシワに巣を作ったんだと思います。普通の落葉樹ですと、この時期落葉して丸裸で外から丸見えになってカラスに襲われてしまいますからね・・・

ブナ科の植物は他にもクヌギとか落葉樹なのに枯れた葉っぱがいつまでも落ちない樹木がぼちぼちあります。見た目もみすぼらしいし、なんで落ちないかは理由はわかってないようです。

菊 8月末に摘心 背丈を低く抑えて開花

毎年菊の摘心で悩むのですが、まず摘心の理由と致しましては花数を多くする、背が高くなりがちな菊の背丈を低くコンパクトに咲かせる。というのがあります。元気な株なら春に延びた後にすぐさま地際でバッサりやってもまたすぐ復活したりするのですが、樹勢の弱い品種はあまりバサバサやると結構枯れてしまいます。

樹勢の強い奴でも「こいつは丈夫だから」とバサバサと何回も切ったり時期を間違うとすごく弱ったりします。

で、いろいろ自分なり考えて今回ためしたのが8月末まではほぼ伸ばし放題で光合成をしっかりさせてから半分から三分の二ぐらいバッサリ切るというのをやってみました。理由は何回も(普通は三回ぐらい?)摘心をすると弱い品種は枯れてしまうことがある。コマめに摘心しても結局秋には背丈が高くなり、だらしなく垂れ下がってしまう。

矮化剤という手もあるのですが、自分には合わなかったです。まず薬価が高い。1回ではなく結構こまめに散布しないといけない。散布タイミングが結構むずかしい。 などの理由からです。

で、上の写真がその結果です。例年なら支柱を立てなければまず自立出来なかった株が自立してます。株によりますがいつもの半分~三分の二程度の高さに収まりました^^ しかもちゃんと満開に咲いてくれました。 摘心時期は8月末~9月上旬ぐらいです。

最近の雨で若干垂れ下がってしまいましたが、支柱を立てるのは結構めんどくさいのでこの手法は結構いけるかも?と思いました。切花にするなら背が高いほうがいいかもしれませんが・・・

綺麗な奴は枯れてしまって丈夫なこいつらが生き残ってます。丈夫な奴でも何年も同じ場所に植えっぱなしだと弱ったりしますけど・・・

5年前ぐらいに買ったアナスタシアという品種がなんとか二株生き残ってくれてます。こいつはグリーンマムエリートです(笑)ほんとに毎年綺麗な緑色です。

三年前に植えたセンリョウが初めて実を付けてくれました^^ 赤実を買ったはずなのに、なぜか黄実と混合といううれしいサプライズです。 

お客様に「今年はセンリョウの実が付かないんだけどなんで?」って聞かれましたが、これまた返答に困ってしまいます。ナンテンもですけど、花時に雨に当たると実が付きにくいとかいわれますが、あまりアテになりません。ナンテンは自分の感覚だと株の性格(植え場所)の違いのが大きいような?よく実がなる株は毎年よくなりますが成らない奴は毎年成らない傾向が強い気がする・・・

センリョウは最近育てたばっかなので正直よくわかりません。姉の家のセンリョウがたわわだった翌年は実付きが異常に悪かったので隔年結果習性があるのかもしれません

私は「まあ、そういう年もあるわな~」と諦めます(いいかげん?)

最近は猛暑など異常気象傾向だし、そもそも植物に完璧を求めるのは酷なような気がします・・・

真っ赤に紅葉したモミジ盆栽

去年はカイガラムシのせいだと思うのですが綺麗に紅葉しませんでしたが、今年はご覧の通りすっごい真っ赤でとても綺麗です^^ なんていう品種かわかりませんが、買うときに「真っ赤に紅葉します」と書いてあったんですけど看板に偽りなしでした^^

たまにお客様に「うちのは綺麗に紅葉しないけどなんで?」と聞かれますが、結構返答に困ってしまいます。近所で綺麗に紅葉してるモミジもある場合も多々ありますので、環境の違いではないっぽい。モミジと言えばイロハモミジが有名ですが、実は園芸品種は多種存在しまして赤くなる品種とそうでない品種でかなり差があると思われます。

仮にその紅葉しないモミジでも例えばこの辺だと香嵐渓とかに植えれば綺麗に紅葉すると思います。 綺麗に紅葉するにはちょっとした条件がありますよね?よく言われるのが昼夜の寒暖差、当然山のがあります。適度な湿度(平地のこの時期はとても乾燥してますね・・・)

あとは紅葉シーズンでの葉っぱの状態、平地で真夏にガンガン日当たりするような場所だと葉焼けしてチリチリでみすぼらしくなります。日当たりも当然必要ですが、モミジは半日陰ぐらいが最適だと思われます。

ということで平地ではなかなか綺麗に紅葉しないということになります が、最近の園芸品種は改良されて条件が悪くても綺麗に紅葉するのもあると思います。この盆栽はまさにそういう品種だと思われます。

一番確実はのはこの紅葉時期に園芸センターで綺麗に紅葉してるブツを買ってくるということになりますかね?(家に植えたら綺麗に紅葉しないということもあると思いますが・・・)

これはカエデ、10年以上育ててますがなかなか太りません・・・ 今年はモミジには劣りますがまあまあ綺麗に紅葉しました。

カエデの根張り。なかなか盤根状になりません・・・

モミジの根張り。こっちは盤根状になりつつあります。こいつのが育ててる期間は短いですが、株立ちのが盤根になりやすいんですかね?

余談ですが、この時期は園芸店でミニ盆栽とか結構売られてますね?ピラカンサとかも実付きでよく売られてますが、あれは盆栽向きで地植えするのはおすすめしません。あれはトゲがすごすぎて植木屋泣かせの樹木です。樹勢もすごいので毎年よく伸びます。枝の出方が四方八方めちゃくちゃに出ますので綺麗な樹形にするにはこまめに剪定しなとすぐに藪状態になります。

最近伺ったお客様宅に植わってましたので「旦那さん、これ要ります?」と聞きましたら、「要らない。伐採してくれるとありがたい」との返答。やはりお客様も手に余る存在のようです。

トゲはほぼ凶器で泥棒避けにはなると思いますので防犯目的ならありかもしれませんが・・・

オリーブを枯らす害虫

先日お客様宅で「オリーブが枯れてしまった」とご報告頂きました。結構でかいオリーブで20年?くらい植わってたようです。とても元気だったしなんで枯れたのかさっぱり解らないので、とりあえず「オリーブは乾燥気味が好きでジメジメは嫌い」とお伝えしてなんやかんやとお話しながらふと根元を見ると。例の穴だらけでオガクズのあれが・・・

もうこれでもかってぐらい穴だらけでした・・・ 根元に雑草とか生えてると意外と気付きにくし、樹木ってやはり上ばかり見るので根元は見逃し気味になったりします。しかし、ここまで穴が綺麗に開いてると早期発見さえすれば駆除は簡単っぽいです(ノズル付きの駆除スプレーでいけると思います)

テッポウムシかな? 「こいつはエゴノキも枯らすし結構怖いな」なんて思って家で調べたら、オリーブアナアキゾウムシとかいう虫の幼虫もテッポウムシと同じような状況になるようです。

私は虫には結構寛大な方で以前は「虫ごときで大きな樹木が枯れることはほとんどない」と思う派でして、虫ごときで木がいちいち枯れてたら世界中の森が現存していないよね?って説得力ないですか?

とある樹木医さんのブログでも「虫が原因で木が枯れることはほとんどない」、あまりに害虫に過剰反応して薬剤をかけまくる方が自然環境によくないし、ネオニコチノイド系農薬はミツバチが減ってる原因と言われてます。

ミツバチは人間が食べる作物の受粉をしてくれる重要な生き物で、もし居なくなったら食料危機になり大変なことになります。

しかし、何事にも例外があります、この穿孔系の虫だけは気をつけた方がよいです。 ほかにマツ枯れやナラ枯れという害虫が原因で樹木を枯らす現象もありますが、共通するのは水分を運ぶ道管(松は仮道管)の機能低下もしくは停止で水分を吸い上げられなくなり枯れてしまうことです。

毛虫やイモムシは葉っぱを食べるだけなので少しぐらいなら大目に見てあげても良いと思います。丸坊主にされるぐらいの大量発生や、イラガやチャドクガは駆除することをおすすめしますが・・・

現代は虫の嫌いな方が多いのでホムセンで害虫薬剤コーナーにはあらゆる種類の薬が売ってますね?私も好きなほうではないですし仕事柄お客様に頼まれたら消毒もする立場ですけど、自然や生態系のことを考えると使わないにこしたことはないんですよね。ハチとかも巣を見つけたらすぐスプレーでプシューってやってしまうがちですが私はアシナガバチに今年は五回ぐらい刺されましたが「この野郎!よくも刺しやがったな!」とは思いませんし駆除もしません。

「巣に近づいてすまん」ぐらいに思ってます(笑)アシナガバチが居ないと多分イモムシケムシのパラダイスでえらいことになると思います。

ということで伐採しました。幹は腐ってもないし見た目は健康ですがいちばん肝心の根鉢は穴だらけでスカスカだと思われます。

オリーブちゃん長いことお疲れさまでした。

在りし日のオリーブちゃんです。すっごい元気でした・・・